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毎月1回、LPガスに関する様々な情報を更新しています。
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事故対策の考え方【1】(11月)

(社)日本エルピーガス供給機器工業会  井出 登

 毎年同じ内容の事故が再発していますが、なぜ再発するかご存知ですか。理由は簡単で次のどちらかです。
(1)真の原因に対して対策が取られていない。
(2)対策が水平展開されていない。

(1)の対策に関して、事故の原因を見つけるのに要因を4つに分けて考えると真の原因が見つかりやすくまた見逃し難くなります。
 ・人(Man)の要因
 ・機械、装置、工具(Machine)の要因
 ・方法(Method)の要因
 ・器具、部品(Material)の要因
これらを英語の頭文字を使って4Mと言っています。

容器交換の後、高圧ホースの締め付けが悪くてガス漏れがした事故を例に考えてみましょう。
 人の要因として、容器交換作業者が該当します。容器交換後の締め付けが不十分だった理由として「新入社員で訓練が不十分であった」、「ベテランで慣れにより決められた作業手順を守らなかった」など容器交換作業者に絞った理由を探ります。
機械、装置、工具の要因に関しては、「スパナが摩耗していて充分締め付けができなかった」、「手袋を忘れたので素手で占めたが充分締め付けできなかった」などの工具に関する理由を探ります。
 方法の要因としては、「作業のやり方や手順が決まっていないため、作業者によって作業のやり方が異なる」、「容器交換後に漏えい検査をすることが手順書に書いてなかったので、やらなかった」など作業方法や手順に関する理由を探ります。
 器具、部品の要因に関しては、「高圧ホースの締め付けねじの部分に傷がついていて締め付けができなかった」、「Oリングが摩耗していて充分締め付けたがガスが漏れた」など、部品や器具に関する理由を探ります。
 このように考えられる要因を分類して書き出し、抜け落ちなく要因を探る方法を要因分析と言い、結果に対する要因を関係付けて書き出したものを「特性要因図」と言います。ぜひこの方法を使って考えられる要因の中から真の原因を洗い出しそこに対策を打ってください。
 「特性要因図の例」を添付いたしますので参考にしてください。

▼「特性要因図の例」はこちらから
http://www.lpgpro.jp/guest/magazine/20111130_03.pdf

(2)の水平展開に関しては、効果のあった対策(真の原因に対する対策)を、同様の事故が起きていない事業所や営業所にも打つことです。
容器交換したあと必ず漏えい検査をするよう教育する。高圧ホースを容器に取り付けたら必ず締め付けるよう訓練する。スパナや工具の摩耗等について定期的に検査する。工具等忘れないように工具箱の点検をするよう訓練する。Oリングや角リング等摩耗部品は常時携帯し、摩耗や傷等が見つかった時は交換するよう訓練する。
これらのことを作業要領書などに書き表しておき、定期的に教育・訓練します。この教育・訓練についても、何時、誰が、どのように行うかを社内規定で決めておき(標準化)実施することを水平展開するといいます。
このように(1)真の原因に対して対策を打つこと、と(2)対策を標準化し水平展開することを徹底すれば事故は再発しません。
事故が起こっていない事業所や営業所でこのような水平展開することは、一見不経済で不必要なことのように思えますが、とても重要なことです。
次回は事故を未然に防止する方法を考えます。

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水の性質(10月)

▼私たちの身近にあって固体、液体、気体と3つの状態が得られる唯一の物質が「水」です。また、生命を維持するために重要な物質ですが、その性質は意外と知られておりません。▼今回は、この「水」の性質についてご紹介したいと思います。

1.圧力と体積
▼気体は圧力に反比例して体積が変化しますが、水(液体)は圧力を加えてもほとんど体積の変化はありません。10kg/cm2【=980.665[kPa]】の圧力を1リットルの水に加えた時に圧縮されて減少する体積は、0.45×10の(−6)乗リットルです。
【10の(−6)乗は、0.45の前に0を6個付けます。】

2.温度と体積
▼水の一番体積が小さくなる温度は0℃ではありません。約4℃の水温が一番小さくなる(密度が高くなって重くなる。)温度です。そのことがよく分かる例は、冬に池の魚が一番深いところにいますが、これは水面が0℃でも底は4℃と温かくなるからです。

★水温と重さとの関係
水温 : 重さ【水1リットルあたりの重量(グラム)】
0℃ : 999.84
4℃ : 999.97
10℃ : 999.10
20℃ : 998.20
30℃ : 995.65
40℃ : 992.22
50℃ : 988.04
60℃ : 983.22
70℃ : 977.77
80℃ : 971.80
90℃ : 965.32

3.温度と形態
▼水は0℃で固体(氷)になります。また、100℃で気体(蒸気)になります。0℃では水と氷が、100℃では水と蒸気が同じ温度で存在します。何処を境として氷、水、蒸気に変化するのでしょうか。その差はエネルギー量の差になります。▼氷から水に変わるためには温度の変化ではなく形態変化のために335[kJ/kg](融解熱)の熱量が、同じく蒸気に変わるために2250[kJ/kg](気化熱)の熱量が必要になります。▼この熱を温度の変化をしない「潜んでる熱」という意味で潜熱(せんねつ)と呼ばれています。

4.状態と体積
▼水が氷になると体積は10%ほど増えます。氷を水に浮かべた時水の上に出ている体積だけ増えたことになります。その体積の差が凍結での機器破損になります。▼また、水が蒸気になると約2,000倍の体積になります。蒸気は気体なので圧力を加えると体積は反比例して減少します。この体積の差で圧力(密閉容器内であると蒸気の体積は最大1/2000になります)が上昇し、その力がヤカンの蓋を押上げたり、蒸気機関車を動かす力になっています。

5.水はいろいろなものを溶かします
▼水には、空気も溶け込んでいます。気体の溶存率は温度が低くなるほど高く、圧力が高くなるほど溶存率も高くなります。
▼冬には、お湯は白くなりますが夏はなりません。0℃の水に含まれている空気量と、20℃の水に含まれている空気量とは、お湯に含まれている空気量に違いがあるからです。

★水温と空気の溶存率との関係
水温 : 空気の溶存率
0℃ : 0.029
20℃ : 0.019
40℃ : 0.014
60℃ : 0.012
80℃ : 0.011
(注)空気の溶存率(水1リットルに溶けている空気量(リットル))は、標準大気圧(1013hPa)時)

◆0℃の空気量 → 0.029-0.014=0.015
◆20℃の空気量 → 0.019-0.014=0.005

▼温度差だけでも3倍の量が多く析出します。さらに水の時には水道の圧力があり水栓から出たときには大気圧まで下がりますのでもっと多く出ることになります。

6.単位の基準
水は何処にでもあり単位の基準に使用されていました。ただし、現在は別の方法に変っています。
★水1リットルの重さが1kg
★1ccを1℃上昇させる熱量が1[cal]【=4.186[J]】
★水の比重(体積と重量の比)を1として各物質の比重を決めています。
★氷と水の共存状態(凝固点温度)と蒸気と水の共存状態(沸騰点温度)の温度差を百等分した温度を1℃

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バルク貯槽の安全弁(2月)

▼バルク貯槽、容器の安全弁はバネ式で形状は似ていますが設定圧力は異なっています。▼容器は設計圧力(気密試験圧力)以上で安全弁が作動しますが、バルク貯槽では設計圧力(気密試験圧力)以下で作動します。つまりバルク貯槽では気密試験をすると安全弁が作動するので気密試験時には注意が必要です。

▼バルク貯槽と容器の安全弁の違いはこちらから
http://www.lpgpro.jp/guest/magazine/110215.pdf

▼安全弁の役割は容器内部の圧力上昇から容器の破裂を防ぐことが目的です。LPガス容器の場合は火災時の温度上昇による圧力上昇、過充てん等により液封による圧力上昇で作動する可能性があります。
▼バルク貯槽では液封の可能性は過充てんが一番発生する可能性が多く、過充てん防止装置に頼ることなく必ず液面計で確認してください。
▼液移動は気相接続では可能性が小さく、気化器(ベーパーライザー)で2本以上のバルク貯槽を液相で接続した場合に注意が必要です。
▼火災時の炎等の熱で温度が上昇した場合は、内部の液に浸かっている部分は蒸発潜熱による温度上昇はなく、気相の部分が急激に温度上昇する恐れがありますので、放水は気相部を狙うよう、消防隊にお願いして下さい。また、放出管上部に着火した場合には、消火させてしまうと生ガスが風下に流れて二次災害が発生する恐れがありますので、むしろ、消火させない方が安全です。
▼レインキャップ、放出管ネジ部等から水が進入した場合は冬季に凍結し安全弁のバネを押し上げガスが漏れる場合もあります。また、水分で安全弁バネが腐食しガスが噴出する場合もありますので注意が必要です。
▼容器には安全弁元弁が付いていませんがバルク貯槽には安全弁元弁が付いています。安全弁元弁には、脱着時に連結弁により自動開閉するものと手動により開閉するものとの二種類があります。
▼連結弁により自動開閉するものは1[ton]未満のバルク貯槽に多く、手動により開閉するものは1[ton]未満の一部と1[ton]以上のバルク貯槽に使用されています。
▼手動により開閉する安全弁元弁の場合は、検査や交換で安全弁を接続時に元弁を「開」にしたことを必ず確認して下さい。「閉」のままですと『安全弁がない圧力容器』となってしまい、火災時には、内部温度の上昇によって爆発する恐れがあり、安全弁が作動したときの爆発よりもっと甚大な被害になると推定されます。

▼(社)日本エルピーガスプラント協会(JLPA)はこちらから
http://www.jlpa.or.jp/

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湯量と水圧と配管径と捨て水量(1月)

▼過去のメルマガ【2010年8月第62号】で、給湯器の必要水圧の求め方についてご紹介しましたが、給湯設備で給湯器の次に重要になるのは配管です。配管で重要になるのは材質だけではなく、配管径でも給湯設備の良し悪しがきまります。

1.水圧と湯量
 ▼水圧が高いと湯量は多くなりますが、水圧が2倍になっても湯量は2倍にはなりません。湯量は水圧の倍数の1/2乗(√)に比例します。湯量が2倍欲しい時には水圧は4倍(2=√4)必要になります。▼水圧を高くして湯量を確保することはウォーターハンマなどの弊害の原因になり避けたほうがよいでしょう。

▼関係式:(湯量の変化率)≒(水圧の変化率)の平行根

2.配管径と湯量
 ▼湯量を確保するためには水圧よりも配管径を太くすることのほうが有効です。次のように、管(Mタイプ)の数値は、1クラス上がると断面積で約2倍大きく(15A→20A:2.03倍、20A→25A:1.69倍)なり、湯量も2倍になります。(湯量は断面積に比例します)

▼【呼び径】:【外径(ミリメートル)×肉厚(ミリメートル】:
  【内径の断面積(平方センチメートル)】
▼【15A(1/2B)】:【15.88×0.71】:【164.1】
▼【20A(3/4B)】:【22.22×0.81】:【333.1】
▼【25A(1B)】 :【28.58×0.89】:【563.8】

3.捨て水量と給湯時間
 ▼流量の確保のため配管は太いほうがよいのですが太すぎても弊害があります。断面積が2倍になると配管の中の水量も2倍になります。そのために水栓を開けてからお湯がくるまでに出てくる水(捨て水)の量も2倍になり、さらにお湯が出てくるまでの時間も2倍になります。▼同じ事ですが15Aで20[m]の配管と20Aで10[m]の配管のお湯が出てくるまでの捨て水量と時間は同じです。2階に洗面所があった場合など、給湯器から2階に直接15Aで配管したほうが良いことがあります。必要以上に太い配管は避けてください。

▼保安専門技術者向けメールマガジン【2010年8月第62号】(抜粋)
http://www.lpgpro.jp/guest/magazine/110119_04.pdf

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冬になると多くなる問合せ(1月)

保安専門技術者研修専任講師  小澤 正之

冬になり寒くなると、お湯を使うことが多くなってきます。給湯器等の使用時間が長くなってガスの使用量が多くなるだけではなく、気温、水温が下がるために発生する色々な問題があります。

1.給湯器の凍結
▼給湯器の凍結は、水が凍ると体積が約1.1倍と大きくなるため、缶体等水の通路が破裂します。凍結防止装置の作動が3℃前後なのは、0℃では氷と水が存在すること、放射冷却により気温が0℃以上でも凍結する場合があることによるものです。

2.排ガスが白くなる話
▼ガスや灯油は、炭素と水素の化合物です。水素は燃焼すると水になります。排ガス中の水は意外と多く、プロパンガスが1kg燃焼すると約1.6リットルの水が出来ます。冬の寒い日に排気口からの白い煙の正体は、この水で出来た湯気なのです(エコジョーズのような潜熱回収型の給湯器の場合、このような症状は発生しません。)。ただし、黒い煙の場合は、不完全燃焼で出来た煙なので注意が必要です。

3.お湯が白く濁る話
▼冬の朝等に水栓を開けてお湯を出すと、白く濁ったお湯が出ることがあります。容器に入れてしばらく置くと透明に戻ります。虫メガネ等で拡大してみますと小さな泡がたくさん見えます。白く見えたのはたくさんの小さな泡だったのです。
▼では、何故小さな泡が多量に発生したのでしょうか?(泡が大きくなると白く濁ったようには見えません)泡の元の空気は元々水に溶けている空気です。水に溶けている空気の量は水温によって変化します。空気だけではなく、気体が水に溶ける量は水温が低いと多く、水温が高いと少なくなります。 ▼ビールの場合、ぬるい時に栓を抜くと泡がたくさん出ますが、冷えている時はあまり出ません。この現象は、ビール好きな方はご経験があると思いますが、これと同じ原理で、冬は水温が低いので水に溶けている空気の量は多くなるため、夏は白濁が少なく、冬は白濁する例が多いのです。 ▼空気を多く含んだ水を加熱し、お湯にすると空気が溶けていられなくなり、気体に戻る際に泡になりますが、泡になっただけでは白濁しません。自然循環の風呂釜等では上の循環口から、時々大きな泡が出ますがこのように大きな泡になり白濁にはなりません。 ▼白濁するのに必要な要素に圧力があります。ビールの場合、栓を抜く前に泡はありませんが、抜いた瞬間にビールの中に泡が出来ます。気体は圧力が高いと多量の気体が溶けていますが、圧力が低いと溶けていられなくなります。給湯器の場合、水道の水圧がかかっていますので、加熱されてもこの圧力により殆ど気体に戻らず、加圧されたまま水栓まで来て一気に圧力が下がります。丁度、ビールの栓を抜いた瞬間と同じ状態になります。これが細かい泡になる原因です。

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フ皃


The High Pressure Gas Safety Institute of Japan